液体構造の計測理論

個体と液体の界面は、結晶化や触媒反応のメカニズムを知る上で大変重要な場所です。また、生体膜と液体の界面は、代謝等の生体反応を分子レベルで理解するために重要な場所です。そこで、固液界面の理解を深めるために我々は固液界面における液体構造(図1)に注目し、その計測理論の作成に取り組んでいます。さらに、板と板に挟まれたナノスケールの拘束空間における液体構造(図2)の計測理論についても研究しています。ちなみに、拘束空間内の液体構造の解析はナノトライボロジーの発展にも関わる基礎研究です。

図1:固液界面における液体構造。

図2:板―板間の液体構造。

これまでの実験技術の発展によって、結晶やバルク液体の構造が精密に測定できる様になりました。しかし、界面における液体構造の解析は比較的まだ進展の余地があります。そこで我々は、原子間力顕微鏡(AFM:図3(A))や表面力測定装置(SFA:図3(B))に注目し、それらの装置から液体構造を測定できるよう取り組んでいいます。具体的には、AFMやSFAで測定されるプローブと試料表面間のフォースカーブを液体構造に変換する理論の作成をしています。理論は主に液体の統計力学を基本としています。最終的には、AFMやSFAを用いさえすれば簡単に液体構造の計測が出来る事を目標としています。

図3:液中AFM(A)とSFA(B)の概略図。

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